<アスベスト>クボタ旧工場周辺、女性の危険度18倍 兵庫
兵庫県尼崎市の「クボタ」旧神崎工場周辺で、アスベスト(石綿)関連がんの中皮腫死亡率を調べていた奈良県立医科大の車谷典男教授(産業疫学)らは、半径 500メートル以内に居住歴のある女性の死亡率が、人口動態統計に基づく想定死亡率に比べて約18倍に達することを突き止めた。男性も約10倍だったが、 職業上の中皮腫が少ない女性の被害は実態をより正確に反映しているとみられ、車谷教授は「工場から飛散した青石綿が、中皮腫多発の原因と推定される」と結 論づけた。石綿と一般住民の中皮腫発症の関係を明確にした調査は国内で初めてという。
大阪市内で開催中の日本職業・災害医学会学術大会で23日 に発表した。調査は、最も毒性の強い青石綿が同工場で使われていた1957~75年に周辺で居住したことのある中皮腫患者や遺族101人と面接して実施。 85人(死者76人)が石綿関連の職業歴がないと分かり、分析した。
人口動態調査の中皮腫死亡率をもとに、半径500メートル区域での 00~05年の女性の死者数を計算すると0.276人になるが、実際の死者は5人で18.1倍となった。同様に、00~05年の中皮腫死亡者は、▽500 メートル以内=男女計11.7倍、男性9.8倍▽500メートル~1キロ=男女計6.9倍、男性5.3倍、女性12.1倍▽1~1.5キロ=男女計2.3 倍、男性1.0倍、女性6.5倍――となり、工場に近いほど高い数値だった。
95~99年の死亡率の比較でも500メートル以内で男女計13. 6倍、男性11.9倍、女性18.7倍に達した。車谷教授らは今年8月に中間報告したが、原因が旧神崎工場の青石綿と言及したのは、今回が初めて。クボタ は「調査の詳細が把握できないのでコメントできない」と話している。
▽津田敏秀・岡山大大学院教授(環境疫学)の話 女性の発症危険性が工場近隣ほど明らかに高く、因果関係がより鮮明になった。死亡率の高さから、1.5キロ以遠でも被害の可能性がある。クボタ以外の地域も含め、国や自治体は過去の死亡診断書などから調査を進めるべきだ。
0 Comments:
Post a Comment
<< Home