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Monday, November 28, 2005

住民“二重苦”の恐れ 住居失い業者破産なら債務抱え

耐震強度の計算書偽造問題で、マンション住民に対する補償の行方はいぜん不透明だ。建築主は「瑕疵担保責任」を負うことから、いずれも諸費用負担や買い戻しの意向を表明しているが、業者側が負担に耐え切れない場合、住民側にしわ寄せが及ぶ可能性が高い。
 偽造が判明したマンションの建築主三社は、国土交通省などに住民への対応方針を示している。
 「シノケン」(福岡市)は、賃貸マンションの住民の移転費用を全額出し、分譲マンションについては分譲代金と税など諸費用を返還して売買契約を解除するとした。該当のいずれもが賃貸マンションだった「サン中央ホーム」(千葉県船橋市)も、諸費用を負担するという。
 七棟を販売した「ヒューザー」(東京都千代田区)は一時、住民に建て替えの意向を伝えるなどしていたが、二十六日になって、すべてのマンションについて販売価格の106%で買い取るとの考えを示している。
 民法の規定では、建物に欠陥があった際の賠償などは「瑕疵担保責任」とされ、一義的に建築主が責任を負う。平成十二年施行の住宅品質確保促進法では趣旨を強化し、建築主の責任を「販売から十年間」と定めた。業者側の対応は、こうした法規を根拠としている。
  ただ、ヒューザーのケースは複雑だ。住民側によると、頭金分は来年三月十五日に返還され、残りのローンはヒューザーが負担するとしているが、仮に同社が破 産すれば住民が支払うことになるという。最悪の場合、債務を抱えたうえに住む場所も失う“二重苦”にさいなまれることになる。
 国交省は、買い替え費用などを住民に低利融資する方向で検討を始めているが、財政支援が実現しても全負担を肩代わりするわけではない。
 今回の問題は責任の所在が網の目のように絡まっており、姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)はもちろん、偽造を見逃した確認検査機関、設計業者、建設会社などが損害賠償請求の対象になり得る。
 しかし、訴訟は過失の程度や金銭の負担能力によって事情が変化するうえ、全面解決まで相当の時間や労力を要するのは確実。住民の不安と不満は高まるばかりだ。

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